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Wed, 16 Oct 2002

月夜


昨日の夜はなんだか荒れたそうで、そういえば激しい雨音も聞いたような聞かないような・・
帰りは降られなかったし、その後はずっと家にいたから、荒天だったという実感がない。

朝の土手は、煙ったように一面濡れていて、竹やぶの中は重たく湿っていた。猫舎の中に誰かの吐き戻し発見・・ありゃりゃ、ばっちぃのぉ・・大急ぎでふき取り、殺菌スプレー。
空のトレイを回収・・散乱が激しく、まるで何か大きい獣に襲われた後のようだ。集めてきれいにして配膳準備完了。待つ場所がみんな濡れているので、猫たちも落ち着かない。
今日はいつものご飯と別に、マグロの血合いをぐつぐつ茹でてさましたのをどっさり持参。おいしそう。
チーコに続けて薬を飲ませているので、青っぱながいくらか引っ込んだ気がする。
ピンちゃんが前足を地面につけず引きずっていた。
ケイちゃん、少し前まで片目が塞がっていたけど、回復した。
ソックス、ガチャ、小夏、ガオ、一ちゃんも来ない。

いつも帰りは河原の猫ポイントを敢えて通過しないようにしている。私が行けば猫たちが集まる。朝以上に人目に付くため、集まった猫たちを危険に晒すことになるのと、夕方まで河原に関わると、私自身がパンクしてしまうからだ。
昨日の帰り、つい河原コースを取ってしまった。
日没まできっと原っぱの縁でうずくまっていたのだろう、よっこらしょっと立ち上がったチーコだけを確認。木でこちらが見えない場所に自転車を止め、すこしだけ、そんなチーコを眺めた。
誰かに見つかる前に自転車をこぎ出した。
みんなゴメンネ。

今夜はふくらみ気味の半月。雲のない青い月夜。きれいだ。
これから先、私は何度満月を見るだろう。

Tue, 15 Oct 2002

天使


イタリアの小さな大女優ジュリエッタ(フェデリコ・フェリーニの奥さん)が、アンソニークインという大男演じる大道芸人と旅をする映画で、忘れられないシーンがある。自分は何の役にも立っていないと泣く彼女に、道ばたの石ころだって役に立っているんだよ、と、綱渡りの芸人に慰められところだ。男に置き去りにされ、雪の山道で毛布にくるまって眠るときも、彼女の顔に浮かんでいるかすかな笑み。天使というものがいるのだとしたら、あの映画の中の彼女こそそれだと思えた。
命というものは不思議なもので、どんな惨めな境遇でも輝くのだということを、教わった。

新しい寝箱を河原の猫たちが気に入ってくれたかどうか、今朝はとても楽しみだった。あまり入った形跡が無くて、この楽しみはもう少し寒くなるまで持ち越しだ。

誰がどんな顔でいるかを見届けるのは、忙しく立ち寄る河原で最も重要な仕事だ。シラミにたかられた情けないクロボスの上目遣いも、青っぱなをぷかぷかさせたチーコの催促も、甘えたくてじれているお母さんのいじけ顔も、ご飯さえもらえたらいいのであって、それ以上は気安く寄るなと構えている子の頑なさも、クニクニがいつも頭を振って逃げまどうのも、そう、みな彼らがそれぞれの個を生きている証で、いとおしく面白く得難いものばかり。

「名も無き雑草」だってちゃんと図鑑に立派な学術名をつけられて載っている。河原の子達を記録にとどめるのは、私だけにふられた仕事なのではないかという気がしてきた。

ね、のこちゃん。
ずいぶん大人になってきたね。

Mon, 14 Oct 2002

作業完了




スチロールの箱を沢山追加して、冬支度ほぼ完了。
猫舎の中のこれまでの体勢を一度すべて取り払った所、もう、言葉では言えないくらいの“虫”で、げげげげげ。
それにくわえて、つーっつーっと音もなく、小さな毛虫が降ってくる。
お天気が良くて救われた。これで曇天だったら泉鏡花の世界だね。蛭までは出てこなかったけど。
ぼろい所もきれいに修復してもらって、すっきり。
後はみんなで仲良く入ってほしいと思うばかり。
作業の勢いで猫たちがどこかに避難して、ちらちら見かけるだけ。チーコは竹やぶの中で作業を監視。終了の頃、ピンちゃん黒叔父さんがほやほやの寝箱に入っていて、小夏が遅い食事を一人で済ませたあと、自転車を出すときまで離れずにそばにいた。

一番最初に猫たちのために作った原っぱ猫台猫舎(本日の写真)から考えると、こんなに立派なものになって、感無量だ。

暑さと空腹で立ちくらみ数回、とても疲れてしまった。
貴重なお休みを、河原猫たちの冬支度に捧げて下さったお友達に、うにゃにゃ「アリガトオ」。

Sun, 13 Oct 2002

裏ボスチーコ




良く晴れて、今日も原っぱの日だまりに猫がたまる。
あたたまりすぎてぼーっとなった子が、木の下の丸い日陰に避難する。チーコはハナを垂らしてじっとしていて、ノコちゃんが「どの角度からピトしようかしら」とまとわりついていた。チーコもノコに慕われて、不調時の気鬱がまぎれているのではないだろうか。チーコは無口な子だ。ほとんど声を発しない。表情も変わらないので、何を考えているのかわからない。細い手でパンチを出すのはかなりご機嫌斜めの時で、大抵のことは(理不尽な場合でも)、唯々諾々とやり過ごす太っ腹である。ひょっとして河原の裏ボスはチーコかもしれないと思う今日この頃。

ただ長居して、寝箱の毛布を干しながら、集まりの悪い猫たちの姿を少しずつ確認する日曜日になった。
竹藪には蜘蛛の巣が沢山張られていて、ゴメンナサイ、猫ご飯の配膳中いくつも壊してしまった。
一太郎、ガオ、やはり来ない。おとなしくて甘えん坊の「小夏」見ない日3日目だけど、追い出されてしまったとしか思えず、可哀想でならない。どこでどうしているのやら・・・
隣の隣の地主さんとお久しぶりのご挨拶。ほか、通りかかった人訪ねて下さった人とも、周りをうろうろする猫たちを見ながら沢山お喋りした。

Sat, 12 Oct 2002

草刈り再び


疲れたーー
今日は猫原っぱの草刈り。
寝箱の追加と毛布の日干し。

新しい子達もやってきた。
長時間いたので、本日の確認数38。確認できなかった子、一太郎、コクニ、ガオ、小夏・・どうしているのだろう。

草刈りの休憩時に猫舎へ戻って空になったトレイを片づけていると、また新しいご飯が出てくるのではないかと、期待した子達が集まってしまう。さっき食べたのを忘れてしまったような顔でじっと見る。あちゃ。みんな良く食べるね。草刈りの鎌にノコがじゃれてアブナイ。しゃがんでできた日陰に、サビちゃんが入り、動くとまたついてくる。ソックスが大きな声で「わたしはここよ」とアピールして構われたがり、お母さんが張り合って近くをうろうろする。お昼も食べずにずっと頑張っておなかがグウグウ鳴ってしまった。猫たちが羨ましかった。いいなーみんな沢山食べて気持ちよさそうにごろんごろんして。

今日一緒に頑張ってくれたM氏とピザハウスで盛大に遅い昼食を取る。なんと!4時近くになっていた。


Fri, 11 Oct 2002

海へ・・


今朝の日射しは猫たちにとても心地よかったようで、大騒ぎで食事を争った後、次々と日だまりに集結していった。
「片目」以外の新しい子達は何故か誰もこなかった。いつもの面々で荒立つことなく平和。でも、知らない間に強烈な追い出しがかかったのではないだろうかと心配にもなった。
膝の上に収まってしまう子というのは数えるほどで、クロちゃん、みぃちゃん、サビちゃん、うーちゃん、そして最近では行方不明になったコミケくらいなもので、コミケちゃんがいなくなってから私の膝は、お母さんのものになっていた。
それが新参小夏(本日の写真)に占領されたのを見てからというもの、お母さんの様子が変で、近寄ると「ちっ」とか「けっ」とかいって逃げていく。もう一押しすればひっくり返って甘えんぼになるから大丈夫とは思うけど、しかるべき愛情をきちんと受けていない捨て子のお母さんだからして、ゆがみ具合には気を揉むことになる。
新しい子達とのつき合い方は難しい。

そんなことを考えながら仕事に向かって走っていた。

川を渡っていくとき、猛スピードで横を通り過ぎていくトラックからの風が、向かい風とタックル組んで私の帽子を空に飛ばし、川に落とした。
あっという間に流されていく。姉から最近もらったばかり、お気に入りだったのに・・見えているのにどう考えたって取り戻せない。欄干にもたれて見送った。
・・・私の帽子が海へ流されていく。

Thu, 10 Oct 2002

日の入り


今日の日の入りは5時16分・・日一日と暗くなるのが早くなるとニュースで言っていた。
橋を渡るとき、帰る方角前方に赤い夕日が華々しく落ちていくのを見た。
夕方のちょうどその時間、家に向かって県道を走っていて、車にはねられたばかりの黒い猫を見た。車が続いていて、また引っかけられて、足が跳ねた。
・・このままではだめだ・・絶対だめだ。
思って自転車を止め、何をしてあげたらいいか一瞬考え、雨に備えて籠に入れてあった大判のビニール袋を持って道路に飛び込んだ。ちょうど信号で車の流れが止まった所で、えいっと包んで歩道へ戻る。即死状態だった。まだ体が温かかった。何でこんな道路に飛びだしたのだと腹が立った。死んでしまったではないか。悲しかった。

以前お隣の黒猫が亡くなったときのこと、思い出した。家のすぐそばのゴミ捨て場前で倒れているのを教えに来てくれた人がいて、隣人が駆けつけて確認し、連れて帰って箱に入れ、家族で泣いてお別れしていた。

持ち帰る手だてがなかったので、包んだまま置いてきた。ちょうどゴミ捨て場横で、近隣の方の目に付く。飼い主か世話をしている人に、少しでも早く連れて帰ってあげてほしいと思って置いてきた。

ちょっと前までは虫も恐かった。虫でも動物でも、死骸など、「とても見られない」、そう言っていた私がこんなに変わった。
強くなったというか、こんな事だってできちゃうんだと自分でびっくりする。その後買い物しながら胸が詰まってきた。

チーコやサビちゃんや河原の調子の良くない子のために、はるばるお薬を届けて下さった人がいて、悪くなるばかりにはさせないぞと思うばかりで何もできない私には、嬉しい「はるばる」だった。

みんなで精一杯生きていこうね。できれば「楽しく」ね。
つらつら思う、神妙な夜だ。


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河原猫の日記



    
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