そのお家のおばあさんはお家の猫だけでなく
外の猫にもごはんをあげていました。
どこにでもある話かもしれませんが
おばあさんが病気になって入院してしまい
猫たちが残されました。
その家には弟おじいさんが住んでいましたが
猫の世話はできません。
おばあさんのお友達が
猫たちのために餌やりに通いました。
おばあさんの家猫も外に放り出され、
家の子と外の子と2匹で
餌やりおばちゃんを待つのです。
黒次がどうやってその2匹と出会ったかは
知る手だてがありませんが
とても気だての良い、優しい猫たちだったので
腹を空かせどこへ行くったってあての無かった黒次を哀れんで
誘ってくれたのでしょう。
3匹でごはんを待つようになりました。
ある日忽然と増えていた黒次に
「あんたはだあれ?」「どこからきたの?」
聞いてもただ「ごはんをください」を繰り返すばかりでしたから
「まあいいか、あんたは黒猫だからくろこにしようね」と
2匹と同じようにごはんをあげてくれました。
「まあくろりん、今日も来たね」
そこで安心して食えるようになった黒次は
なんだか昔からずっとそうして食べていたような気分になって
落ち着いてしまいました。
食えずに彷徨っていた辛い日々も忘れてしまいました。
あんなに沢山貼り歩いたのに、
餌やりおばちゃんは黒次の捜索チラシを見ていませんでした。
ポスティング作戦に切り替えてから、ようやっとその人に届き、
探されている黒猫はひょっとしてこの黒猫かしらと連絡してくださったのです。
黒次を迎えに行く道中、洋ちゃんアミちゃんの行った町を抜けました。
故郷の河原を目指したはずが
でたらめにあっちへこっちへ歩くうち
もしかすると、洋ちゃんの匂い、アミちゃんの匂いが風に運ばれて
黒次の鼻先をかすめたのかもしれません。
なんだかそん風におもいました。

洋ちゃんの歌声に 横滑りで引き寄せられる黒長黒次 白い腹毛が見える
(参照 9th Jan,2006の日記 洋ちゃん2)
ごはんを食べに現れた3匹のなかの黒猫を見てすぐに
それが間違いなく黒長シッポの黒次だと確信しました。
物置の餌場で食べる黒次
安心の餌場に、おばちゃん以外の人間がふたりも来たのにちょっと驚いて
ずりずりさがりかけたのを、おばちゃんがごはんで引き留めてくれましたので
呼びかけながらそっとそばに座り、手を伸ばし撫でてみました。
抱っこしてお腹の白い毛を確かめました。
食べる様子もまさに黒長黒次。
わたしもよしこちゃんも、感極まって叫びそうでした。
よしこちゃんちでそのままになっていたケージに
黒次は再び戻りました。
餌やりおばちゃんも「見届けたい」と言って一緒に来てくれました。
爪を切り、蚤取り薬をつけ、
やがて黒次がのどを鳴らしてくつろぐまで念入りにブラシをかけました。

どうか環境の変化を不安がらずに
よしこちゃんが心を込めてきみのためにこしらえてくれた全部を
受け取っておくれクロや。
4ヶ月。随分長い旅だったけど、おかえり、よく帰ってきたね。
痩せもせず、くたびれもせず、よく帰ってきたね。
何千枚も刷った渾身の捜索チラシはメモ用紙になりました。
来週のポスティング部隊はとりあえず解散し
今後は「ありがとう戻りました」チラシ貼り貼り作戦でしょうか。
苦労した黒次と苦労したよしこちゃんに
恵みの雨が降る夜です。
改めて地図をじっくり見直してみますと、
よしこ宅から黒次発見場所までの直線距離は約1.7km。
よしこ宅から洋ちゃんアミちゃんのお家までは約0.83km(とても近い!)。
ちなみに、洋ちゃんを私の家の前で逃がしてしまったときは
2ヶ月の不明期間、ごく近所で食いつないで生きていました。
発見場所までのその距離は50mでした。
成猫雌のガチャは私の家から河原へ3kmの道程を2ヶ月半で歩きました。
成猫雄の黒次が、山越え野越え、複雑な地形の住宅地を4ヶ月
行き当たりばったりで歩き続けた行程が偲ばれます。
黒次発見の奇跡が、行方不明になった猫を探している方たちの
希望に繋がりますように。
手だてを尽くして諦めずに探し、どうか見つけてあげてください。
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