Fri, 26 Mar 2004

除草剤散布


早朝降っていた雨が止んだ。
濡れた道を河原へ向かった。強い向かい風で、とても寒い。

ガオの道の先に、緑色の一輪車があった。
地主のおじいさんが除草剤を撒きに来ているのだと察し、駐車場へ下りて裏側からキャンプ場へ上がった。竹藪の裏手に自転車を止めてガオの道の方を振り返ると、ヨーコママが畑の中で右往左往していた。除草剤は容赦なく撒かれている最中だ。竹藪から「ごはんだ!」と原っぱに飛び出した子もいた。向こうから散布しているおじいさんの横を走り抜けてやってくる子もいる。脱力感に襲われながら歩いてガオの道の薮へ、はぐれ者たちのためのごはんを置きに行った。その間に、原っぱには更に猫たちが出てしまっていた。口を押さえ、声にならない悲鳴をあげた。私に気づいたおじいさんは、相変わらず底意地の悪い顔で振り返り、ニコリともせず休みもせず、黙々と散布を続ける。猫たちを竹藪へ入れた。
泣きながら配膳し、カイロ交換を始めた頃、土手の上にM氏の自転車が止まるのが見えた。キャンプ場を抜けて竹藪裏手からエサ場に入ってきて、二人で黙ってカイロ交換の作業を続けた。
金ちゃんとまっちゃんがいつものように原っぱへ出て行こうとするのを、竹藪入口で両手で押さえた。まっちゃんは寝箱に収まってくれたけれど、あとはどんなにしても出ていく猫たちを止められなかった。兄ちゃんも、チーコも、まさおくんも、ピンちゃんも、出ていった。金ちゃんは隈無く撒いて行くおじいさんの前方の草の中に埋まって休み始めた。竹藪から見ていると、おじいさんはノズルから薬剤を噴出させたまま左右に振って近づいて・・浴びせられて初めて、金ちゃんは逃げた。
たまらなくなって、みんなを追い払いに飛び出して行った。

逃げて!逃げて!
あっちへいけ!
コロされる!コロされてしまうよ、、
言っても猫には意味が分からない、
追えばなおのこと、薬剤でびっしょりと濡れた草の中を
あちらへこちらへ、逃げまどう。
そして、
なんなんだよっと言って、濡れた体を猛然と舐めて毛繕いする。
竹藪の入口へも、おじいさんは向かってきて、縁の縁まで念入りに撒いた。俺の土地だと体中で主張している。竹やぶの中から、二人で立ちつくしその様子を見つめた。

おじいさんはマスクも手袋もしていなかった。長靴の足に腿までビニールを巻いていただけだ。
嫌な臭いが風に乗って竹藪にも流れてきた。
撒き残しの無いよう、線を引いた竹の棒を、素手で掴んで次の区画に置いていく。素手だ。
薬剤がもしも強い毒性のあるモノなら、あのおじいさんだってただでは済むまい。そんな風に考えてみた。危険ではないから素手なのだ。それとも除草剤の害に無頓着なのか。どちらだろう。
草を殺して、他の生き物に無害な薬なんてあるのだろうか・・
毎年毎年、何度撒かれてきたことか、
猫たちは生きる。大丈夫だ。
そう思おうとした。
今日は病院へ行く予定だったのだけれど、
ひどく疲れて家に戻ってきた。
惨敗だ。

Comments

No comments yet

Add Comment






河原猫の日記



    
 1日1クリックで応援して下さい!

    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

月別の掲載
カテゴリー
最近のコメント
リンク集