Tue, 27 Jan 2004

神様のシェルター




この世の地面に爪を立て、あの世の空をぐいと持ちあげ、そうやって作った空間に、猫の神様が渾身の力を振り絞って拵えた手作りのシェルターがある。にっちもさっちもいかなくなった猫たちを避難させるために、特別区が運営されているのだ。みなこの世の命をそのまま持ち越して、安心して寿命の限り健やかに過ごせる。
亡くなって行く虹の橋と少し違う。
誰が行くかは甚だ不確かで、この子こそ保護されてしかるべき・・とこちらが思う緊急性や惨めさ加減は、なぜか通じず、神様の人(猫)選はまことに無作為抽出っぽく、でたらめだ。
一応「定員」があって、空きがないと入れない。そこからも虹の橋に向けて旅立てる。誰も待つあての無い子は、無理に寄らなくても良いことになっている。「お世話になりました」とだれかしらか出かけると、ひょっこり「お世話になります」と新しい子がやってくる。
そういうシェルターがあると知れたら、世界中から保護依頼が殺到して大変なことになるのは必至。こうして私がかぎつけ日記にまで書いているので、「迷惑千万!」とかいって、神様ちょっとご立腹。
こんな小さな河原の緑地で、なぜ猫が消えるのか。
竹藪の奥には永遠の「奥」は無い。
すぐグランドや駐車場だ。
神様のシェルターのはずれは竹藪の奥にかかっていて、穴が空いていたらしい。
例えばあの、舌をだらりと出した犬に追いつめられて、絶対絶命になっただれかが、向こうにいる顔見知りの誰かに「こっちこっち!早く早く」と引っ張り上げてもらった可能性がある。定員の掟破りも、たまには仕方なくあるのではあるまいか。
河原の子達は贅沢なんか言わない。もとよりシングルルームなんか望まないだろうし。資格審査など不要(ですよね、神様)。苦労人(猫)ばかりだから空きさえあったらいつでも入れてもらえるはず。それから、先に保護された仲間たちの推薦書類だって、署名だって、あっという間に揃うはずだしね。ノコちゃんみたいに怪我をして辛い目に遭った子はなおのこと。たくさんのちいさい子に優しくしたし、先輩たちに礼を尽くしたし、お母さんを愛したし。私のような非力な人間ではどうにもあてにならないので、いよいよ神様がお出ましになったのだ。


ノコちゃんが
河原から消えていった子達と再会し、必死の捜索の日課を忘れ、やっと平和に暮らしているのだとしたら、こんなに素敵なことはない。

もしも神様がもうちょっと別の示唆をしてノコちゃんを説得してくれたら、人間を怖れず距離を縮めよ、とかなんとか、言って聞かせてくれていたら、あれだけの良い子だもの、きっと人間と楽しく暮らしていけたのに。私は神様の配慮にけちをつけるつもりは毛頭ありませんが、

心配で心配で辛い思いをするこちらの身にもなって下さいな。

と、愚痴りたいのであります。

来月の出席簿から、誰を諦めなければならないのでしょう。

写真上 チビマユとノコ
写真下 コクニとノコ

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河原猫の日記



    
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