Wed, 10 May 2006

カブトムシ男




仕事が終わってから河原へ寄ってみたい、と、お友だちから連絡があった。夕方河原へ行って猫たちに配膳して、小夏を膝に乗せ、人形の部品を磨きながら待った。
やって来た彼女と竹やぶの中で話が盛り上がっていると、ひょろっとした男が竹薮にヅカヅカ入ってきた。
「ど、どなた?」
「猫見に来ました」

聞けば、そうやってちょくちょく寄っているそうだ。猫のいっぱいいる所を覗いて回るのも好きだとかで、あちこちの猫ポイントを次々言う。早口なので聞き取るのがやっとだ。6年も毎日来ているけど、見た事のない人だった。私と初めて顔を合わせた彼、こちらの説明には興味がないらしく上の空。持っていた怪しい布袋から、どさっどさっと土の入ったポリ袋を二つ取り出した。なんと!口を開いて見せてくれたのはカブトムシの幼虫、そしてクワガタの小さいのまで蠢いている。大きい方が詰まった袋には7縲鰀8cmのが足をごにょごにょ動かしていて、小さい方は5cmくらい。それぞれ、50匹ほどはいたのでは無かろうか。私は見た事が無いのでたまげてしまった。一緒にいた友達は田舎で見たから知っていると言って、その立派さに感心していた。河川敷のナラやブナなどのカブトムシのいる木や、好む樹液を出す木を熟知しており、そうやって来ては掘って、捕らえて、持ち帰り、育て・・
妹に「それだけあるんだから売ってくれば」と言われ、(マニアックな子どもに200円とか300円とかで売ったという)インターネットでも調べて貰っているそうだ。仕事は調理師を辞めてぷー。家で肩身を狭くしながら「オタク街道」を突っ走っている35歳の変人だった。
立派な幼虫を育てているだけあって、土のこと、虫のこと、とても詳しい。土手の蕗を摘んで煮たりもする。調理は得意らしい。
いやはや・・あまりの凄さ、変人ぶりに唸ってしまった。友達と一緒でなかったら、話をする前に怖くて逃げていたかも知れない。

駐車場の方の猫たちも紹介してあげた。
「こっちは黒猫がいっぱいだ」と言ってしばらく眺め、
自転車で帰っていった。

まだら、ハッチ、シンシンブー、ヨーコママ、シロママ、シンクロ、曲がりしっぽの黒(君は誰?)、ミルク、小夏、花子。
トラピン黒長、コシロクニクニロボきじお、洋ちゃんアミちゃんケイちゃんビータン。クマちゃん、サリーちゃん、影丸、キジ丸。筆しっぽの黒。確認猫数26。
猫缶大5個ごちそう缶3個+現場で追加ごちそう缶3個小3個レトルト4袋。

日もとっぷり暮れて、薄暗くなったガオの道で、追いかけてきた小夏とシンクロを抱っこしてお休みの挨拶をしたのだが、ふたりとも私たちをいつまでも追ってきて、帰るよう言い聞かせるのに苦労した。

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