Fri, 29 Jul 2005

緊急保護(3)


仕事の帰りにUさんの家に様子を聞くために寄り、あの子は亡くなったと、病院から連絡があった事を知る。Uさんは不在で、詳しくは分からなかった。ご主人から頂いたその情報をひとまず家に持ち帰って、病院へ出直した。

真夜中に処置が終わり、点滴が済むと、ステンレスケージの中で座っていたそうだ。顔の半分と肩にかけて、筋肉が露出して酷いありさまだった。衰弱して脱水症状。おそらく首輪は仔猫の時につけられたもので、迷子になって帰れなくなったのか、捨てられたのか分からないけど、その首輪をつけて成長期にさまよった。
その首輪だけでも、ずっと苦しんだ。
もっと早い段階で誰かに保護してもらえたら、命を落とさずに済んだはずだ。
あんなに人懐っこい子なのに、残念なことにそういう人間に出会えぬまま放浪し、傷が酷くなってからはいっそう拒絶され続けたことだろう。下手にごはんをやると居着かれる、とか、汚いから触らない方がいいとか・・想像すると私も苦しい。
だからずっと保護されることを願っていた。
保護されて安心した。
もし昨日見捨てていたら、彼は絶望の中で死を迎えねばならなかった。最後に、頭を撫でてもらい、かわいそうに苦しかったろうねとみんなに声をかけてもらい、遂に私に抱き上げられてお家に入った。懐かしい感じの段ボール箱にうずくまって、僕は帰ってきたのだと思ったに違いない。しっかりした声で返事をしたのは、助けを求めて振り絞ったものと思われる。振り絞って願いが叶ってから、ウトウトしかけるたびに声をかけられ、迷惑だけど嬉しくて、ありがとうありがとうを言ったのだ。
病院できれいに消毒してもらって、長い旅を終えた。
もう安心だ。
先生が深夜2時半に見に行くと、座ったままの姿勢で、目を開けたまま、呼吸が止まっていたのだそうだ。
苦しんだ様子は全くなく、表情は安らかだったそうだ。
不思議な亡くなりかただと、聞いて思った。

先生に御礼を述べて出た病院からの帰り道、
突然だーっと泣けてきた。たった昨日の今日のこと。
あの子と過ごした時間はほんのわずかなのに、
かわいそうで泣けてきた。
言葉を言わぬ猫のこと、
なにも説明できない。
切望も絶望も言えない。
ダイジョウブカ? ドウシタノダ?
目前に死を控えて、
あの子は呼びかける声に返事をし続けた。

猫の神様の計らいだと思おう。
あのまま絶望の中で死なせぬよう、
またまた私に「タノムよ」
だったのだ。

発見して首輪を外し、立ち去りがたく見守っていたWさんとお嬢さん。私が通りかかるまでWさんと一緒に立ちつくしていた人達。保護に踏み切るために背中を押しに駆けつけて下さったゴロママ。電話相談で点滴を教えて下さったA先生。すぐ預かりを申し出て、夜中に病院へ連絡して運んで下さったUさんご夫妻。
そして、深夜の処置、最期の様子を見届けて下さったY先生。亡くなったあの子とお別れをして下さったUさん。

ほんとうにありがとうございました。

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河原猫の日記



    
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