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対決
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猫舎の覆いをめくりあげて、息が止まりそうになった。 吐血だ。その猫が上がって休んだ所と寝箱の一つが、血だらけだった・・ 誰かが怪我をしたのかと、居た子達をみまわす。 とりあえず無事に見える。 ・・・金ちゃんがいない。 直感で、死んだのだと思った。 カイロを替えていくうち、どこかの寝箱で冷たくなっている金ちゃんを見つけることになるのかも知れないと覚悟した。 原っぱの一段上に止めてきた私の自転車の所へ、いつの間にか地主のおじいさんの一輪車が来ていた。昨日の続きを撒きに来たのだ。自転車で私が来ているのは分かったはずで、昨日撒いた所へ重ねるように、わざわざ竹藪入口の所から猛然と散布が始まった。あの人は、昨日、草の中で動かなかった金ちゃんに除草剤を浴びせた。追い払いもせず、黙って撒き進んだ。浴びたとしてもそこにいるのが悪いんだ、くらいの感覚だったのでは無かろうか。それすらなかったかも知れない。邪魔な猫、目障りな猫が死のうが生きようが知ったこっちゃ無いのだ。元気な子なら何とか凌いだとしても、具合が悪くて食べられず、悲鳴をあげていた金ちゃんに、具合が悪くて仕方なくうずくまっていた金ちゃんに、あの人は草を殺す薬剤を浴びせたのだ。逃げるまでそこに猫がいたなんて気が付かなかったというかも知れない。私はそれを見ていて、何も言えなかった。そして今朝だ。 やり場のない怒りがこみ上げてきて、気が付いたら原っぱに出ていて、じーさん(略:地主さん)にカウンターパンチを一発浴びせていた。といっても、実際パンチを食らわしたのではなくて、撒いているおじいさんの側まで行ってこう言ったのだ。 _何の薬を撒いているのか知りませんが、猫が血を吐いて死にました。 この一言で彼は目を三角にして激怒した。 _何言ってんだ、そんなこと関係ないよ (関係ない?猫が死のうが生きようが、俺の知ったことか!ということ?) _地主様かも知れませんが、ここは河川敷の中ですから、毒はそのまま川に流れていくんですよ。 それだけ言って竹藪へ戻り、カイロ交換を続けていたら、ふらつく足取りで「あんたねぇ!」と追ってきた。 _何度も言ったけど、ここで猫なんか飼われたら迷惑なんだよっ、自分ちの近所でやってりゃいいじゃないか、 _飼っているのではありません。ここにいた猫たちです。私はのたれ死にしないよう世話をしに来ているのです。触れない猫ばかりです。ここしか生きる場所がないのです。どうやって別の場所へ連れて行けと言うのですか、人間以外の生き物は生きていたらいけないのですか? _俺はそんなこと一言も言ってないよっ、犬だって猫だって好きだ、ここでエサやって飼うなと言ってるんだよっ!あんたみたいなのがエサやるから集まってくるんじゃないか! _ただ一生懸命生きているだけです、何が迷惑なのですか? 時間が無くて、かみ合わない言い合いはそっぽを向かれてお終いだった。自転車の所へは原っぱを歩かずに回っていき、もう一度、怒りに震えながらムキになって撒いている人をじっと見、一輪車の中の薬剤のラベルを見た。 「ラウンドアップ」 一般的に市販されている。葉から根に運ばせ、草の根を殺す薬。以前製造元へ、危険性について問い合わせたことのある製品だ。あとで探してみよう。 今日一日、金ちゃんのこと、河原の猫たちのこと、地主のおじいさんに言われたこと、自分の言ったこと、一つずつ考え続けた。何も結論は出ない。 頭がヅキヅキし、ひたすら悲しかった。 夜になって、午後河原へ行ったM氏が、金ちゃんが居なかったと電話をくれた。 金ちゃんを苦しめたのは私だ。 |
