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ガチャと一ちゃん
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このところのガチャは、なかなか健闘している。 薮組で一番積極的に食べているし、出迎えも、お皿回収時の待機も、熱心なのだ。 自転車に体をこすりつけてS字歩きし、何か言いたげなので付き合ってやった。 ヘルマン・ガチャ・ヘッセや、車輪の下が好きね。 _あったりまえじゃない、ヘッセは尊敬してる作家よ。でもそれって、男の名前じゃん。ガチャってのも、なんだかがさつで気に入らないわ。レディガチャとか、ヘルマーレディガチャヘッセにしない? へ?物知りだね。 _(ガチャここで胸を反ってえらそうに)アタシのお母さん、大学猫だったのよ。 むむ。ここいらへんにある大学と言えば、、二つ三つ四つばかり浮かぶけど、たいしたことはないよ。 _でもなんでも、大学に長くいたから勉強家だったのよ、 猫がいるって騒ぎになって、お母さん、罠にかかって河原へポイされたんだわ。アタシも一緒だったの。 ・・そういえば、どこかの大学で猫が捕獲されて河川敷に捨てられ、それが非難されて捨てた猫を探した、けど見つからなかったっなんて話が、あったような・・ _昔のことはどうでもいいの、過ぎたことだわ。 いまね、ちょっと構想があって、長編小説書くんだわ。 ヘッセも彷徨って書いたから、アタシの河原暮らし一代記に「流浪の果て」なんてどうよ。アンタにさらわれて戻ってくるのにどれほど苦労したことか。 ガチャ恨めしげにちらっと一瞥私に投げて、それからまたお喋りが止まらない。紙と鉛筆もってこいだの、言うとおりアンタが書けば楽で良いだの、あごの下が痒いからちょこっと掻いてくれだの・・ 牡猫が書いた物語っていうのは名無しの我が輩とか楽団長の飼い猫ムル、とかあったけど、牝猫はない。 ガチャがその気満々なら、いけるかもね。 ガチャ、おだてたら気分が高揚し、 いきなりガブッと咬んできた。アタタ・・ この危険な様変わりは一ちゃんと同じ。要注意。 で、ガチャのお喋りに見切りをつけて先に進み、次に私を待ち受けていたのが一ちゃんだった。 目が合ったとたん土手を駆け上ってきて、ただで行かせるモノかと絡まれた。脇の下に両手を入れて持ち上げると、体重でだらーりぶら下がる。力の抜き方は上手だ。 左右にぶらぶら振りながら土手を下り、そっと下ろす。感極まってガブッと来るのは、下ろした直後だ。あぶないあぶない。そのスリルが面白くて、しばらく一ちゃんを構ってしまった。3勝2敗。手と首をヤラレタ。私が土手の下にいるのに、一ちゃんだけ上に上がって、海まで○○km表示杭に体をこすりつけ、うねりっぱなしだった。 腰に手を当て呆れて見上げ、 お馬鹿な一ちゃんを見物した。 この後は辛い。 一ちゃんの白い胸がいつまでも私が行く方を向いて動かないのを、ずっと振り返りながら歩き、土手の下へおりるのを見てから自転車を漕ぎ出す。 写真上 レディーガチャ 写真下 一ちゃん |
