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Sat, 02 Oct 2004

蝿がプーン




河原へ行く途中、住宅地を抜ける道で仔猫が死んでいた。
ブロック塀に沿って黒白の小さな体を横たえ、息絶え、日射しを浴びていた。蝿がぷーんととまった。少し過ぎて自転車を止め振り返ると、通る人が足早に過ぎていくのを見た。たまらない気持になった。
近くのアパートで外置きの洗濯機を回していたおじさんに新聞紙をもらって引き返した。

仔猫はまだ柔らかくて、薄目を開けていた。せいぜい二ヶ月。小さな子だ。
今さっき体を抜け出したばかりの魂が、途方に暮れて浮かんでいるのを見ているようだった。悲しそうな顔だった。

このままじゃいけない。
一緒に河原へ行こう。
仔猫をそっと包んで自転車の籠に入れ、籠のリュックは背中に背負った。

あの住宅地には、猫を助ける人が見あたらない。
毎朝ゴミ置き場に、必死の形相で猫が忍び寄っている。
公園にホームレスのおじさんが時々休んでいて、ハトや猫と、コンビニから調達してきた食料を分け合っている。河原で会うと、猫ごはんをたまに分けてあげるおじさんだ。猫たちはゴミを漁りながら繁殖を繰り返しているのだろう。仔猫の多くは死ぬのだろう。みんな知らん顔で通り過ぎる。エサを持って猫に近寄れば、非難囂々攻撃される。そして看板が立つ。見張りも立つ。

やりきれない。仔猫がそうやって死んでいくのを思うと、ただやりきれない。

当てにしていたサルスベリの華やかな花は、すっかり終わっていた。
探し歩いたら、ツユクサがまだ青い花付けていて、アカマンマ、猫じゃらしの草はいくらでもあった。米粒みたいな白い花びらを付けた雑草。実になると服にくっつく草の黄色い花。それから、ミントも花を付けていた。豪華な花束になった。特別に、キャットニップの青々した葉も摘んで、仔猫に手向けた。キャンプ場のすみっこ、竹薮の裏側に埋葬した。
可愛い子。
お母さんとお別れもできずに死んでしまった、
可哀想な子。
ここは仲間が沢山いる河原だから、ゆっくりお休み。

持っていったCD終わりの曲まで、聴きながら草刈りした。手袋をしたのに、また新しいマメが出来た。
まさおくんやチーコがずっと見ていてくれたので、がんばれた。

兄ちゃんは来ない。もう旅立ってしまったのかな。
河原から連れ帰ってしまったと思われる蝿が一匹、ここ2縲怩R日部屋にいる。なかなか出ていかない。ソファーで巨大なお腹を開いて寝ていたクロちゃんに止まり、片づけ忘れた猫ごはんのお皿にもとまっていた。カリカリの粒にしがみついていた。
ひょっとして兄ちゃんか?
なんぞと思ったら、簡単に叩けなくなった。

あの苦しい慢性鼻器官炎から解放されたのなら、
それは兄ちゃんにとって嬉しいことかもしれないね。

また会おうね。
フジコを探して、
私を待っていてくれるよう伝えてね。
頼むよ、兄ちゃん。



河原猫の日記



    
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