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Wed, 30 Apr 2003

河原猫の「なぜなし」




猫舎を覗いて行く人がいたのだろう。ちょっと動かされた形跡があった。あちこちに潜っていて顔を出した子たちの様子を見て、大事はなかったと安堵する。
アイ子ちゃんは遂に4月いっぱい現れなかった。
諦めねばなるまいね。
明日から5月。
新しい名簿から、不明者リスト入りだね。
とても残念だよ。だってお別れの準備なんて、なーんにもしていないんだから。

ファンタジーというのは「なぜなし」でいいらしい。なぜ、をいちいち追求してはいけないらしい。なぜ、にこだわっていたら、ファンタジーはつまらなくなってしまうらしい。
5月の風はたまらなく気持ちが良くて、新緑の中で吹かれてみると、すっかり、何もかも、飛ばされてしまう。
見失っている「なぜなし」の猫たちに、風の中で会うのだ。
なぜいなくなってしまったのかは、聞いてはいけないことになっているけど、どうしても、また会いたいと思っていることだけは
伝えたいように思う。

拾ってしまった幼仔猫を「処分するしかない」と言った友人に、それは駄目だ、とも、いやだ、とも、わたしが、とも言わず黙っていた。
黙っていたにもかかわらず、夜には応援の方と二人で走っていた。これもまた「なぜなし」だ。

Tue, 29 Apr 2003

立ち枯れ怪獣




キャンプ場の隅で「怪獣」発見。
角が生えていて、威張っている。
草をかき分けてこいつに出くわしたりした猫が、一発二発猫パンチを浴びせていく。何度叩かれても動かない。何しろ小さな枯れ木の古株だからね。

昨日原っぱベンチの下で、チーコにぴったりくっついていたノコちゃん。今日は人の気配を避けてどこかへ潜伏したまま、長時間粘っても会えず。昨日のごはんがたくさん残っていて、今日もあの様子だと残るかもしれない。確認数17。とても少なかった。

Mon, 28 Apr 2003

スギゴケ




竹やぶの中に、無造作にちぎったちくわとチーズが散乱していた。竹かき分けて拾い集めた。ハエが嬉しそうに飛び交ってたかっていた。
用心深い猫は、エサヤリの人が立ち去るまで人の手の届かない待機場所を動かない場合が多い。それを不憫に思って、猫のいる場所へエサを投げたり撒いたりしていく人がいる。撒かれたものが即座に猫のおなかに納まって跡形もなくなるのであれば問題はない。それに飛びつくほどがっついていないばかりか、何をぶつけられたのかと猫は驚く。
我が身に立ち返ってつらつら思うに、中には自尊心を傷つけられる者だってあるかもしれない。太宰の小説の中で、空腹であったにもかかわらず、めぐんで貰ったオニギリを投げ捨てた女の子がいたではないか。猫たちが逃げた後に、撒かれたものだけがいつまでも残ることになるのだ。戻ってきて拾い食いする猫もいることはいる。でも、殆どは私が片づけている。お願いだから撒かないで、って、何度も口に出して懇願した。それでもこうして落ちているということは、待っている猫が可哀想だからと思う精神構造が頑固に変わっていないということか・・やれやれ、頭が痛い。
ちょっと愚痴っぽくなってしまったね。

原っぱの日陰にスギゴケがいっぱい出てきた。
あたりの様子を窺いながら、傘を閉じたり広げたり。
おかしな連中である。
それから露草の青い葉が吹き上がってきた。
ミュートはいつも香箱作って穏やかだ。

Sun, 27 Apr 2003

チビちゃん嫁入り




昨夜は友人夫妻が重たいフードをはるばる運んできてくれた。
今日はお薬を届けて頂き、鬼に金棒「どんとこい」の気分になった。肝心のノコちゃんは日曜の人出を避けてどこかに潜ったままだったけど、くしゃみをしているピンちゃん、富士子、、慢性鼻器官炎のチーコ、猫風邪長引かせているお兄ちゃん、しっかり食べたら良くなるからね。
キャンプ場&原っぱは連日の野外活動だったし、竹藪の向こうの駐車場からは大音量で音楽が流れてきたし、野球グランドに人、畑にも人、土手上にも人。なかなかにぎわっていた。今日も甘えん坊は黒長、富士子、金ちゃん(本日の写真)。最後の方で、ひっそりと音も立てずにヨーコママが来た。

保護チビ猫は、Uさん宅で順調に成長し、400gを越えた。
それでもまだまだチビちゃんだ。
みーしゃのママから連絡いただき、午後のお見合いにはご家族でチビちゃんを見に来て下さり、後はみーしゃが気に入ってくれるかどうか、お友達になれるかどうか様子を見て・・ということで引き取って下さった。運んで下さった差し入れ段ボールには、ごちそう缶をはじめ、猫たちのフードがいっぱい入っていて、感動。またまた、どんとこい気分がフツフツと湧いてきた。
ところで、チビちゃんは女の子だったろうか?

Sat, 26 Apr 2003

荒野の日の丸


昨夜から気温が上がって、雨が降ったり風が吹いたりしたにもかかわらず、今日は暑い日になった。
竹やぶの中には小さなブヨみたいな虫がたくさん発生し、ハエもぶんぶん出ていた。虫に悩まされる季節の到来だ。

隣のキャンプ場には子供達がたくさん集まり、大人のリーダーたちの指示のもと、野外活動の練習で「テント張り」が行われていた。色とりどりの大きいテント小さいテントが、賑やかに張られていた。猫たちはすっかりシュンとなって、エサ場常駐メンバーがやっと顔をそろえただけ。落ち着かない様子でしきりに何か訴えてきたり、体を私に押しつけて食事したり。追いすがってくる富士子に、隠れてじっとしているよう言い聞かせ、私も長居はできずに引き上げてきた。

見るたびに悲しくなる原っぱに、今日は場違いな日の丸の旗が風にたなびいていた。日本の現状を象徴する風景としては、場違いではないのかも。
今日撮った富士子は、アトム耳だった。

Fri, 25 Apr 2003

灰かぶり姫




コキジが来た。
3月18日姿を確認して以来のことで、ドキドキしてしまった。灰かぶり姫みたいに真っ黒けのキジ猫で、耳にパールのピアスがきらり。姫!ご無事でしたか・・そんなに慌てて食べてはお体に悪い・・ご心配しておりましたぞなもし、あ、なんと素っ気ない、もう行ってしまうのですか、あぁぁ。というわけで、うろたえるばあやのぼやき聞く間もなく、灰かぶりコキジ姫は去っていったのでありました。
よかった、元気そうで。

最近見つけたマダラが、ものすごく用心しぃしぃ現れて、ここぞと思ったトレイに空きができた時に突進し、かっ込んで、ミルクもついでにがぶ飲みし、つむじ風のようにひゅーっと消えた。後でもう一度現れ、カメラを向けようとしたのに気が付いて逃げた。ドングリ眼でおかしな顔をしている。びっくりしたときのサビちゃんみたいだった。

マダラの写真は近日中に。
本日の写真はどちらも既に使ったけど、一番最初に撮ったコキジと、ノコちゃんと棒杭で遊ぶお猿のコキジ。でした。

Thu, 24 Apr 2003

お疲れのチーコ




桜が散ったあと目に付くのは、見事な花房をつけた藤棚。ハナミズキの花。豊かに白く咲きそろった姿がとてもきれいだ。

最近は、チーコを無理に押さえ込んで鼻を拭いたり薬を飲ませたりしていない。寒かった時期より幾分良くはなったけれど、慢性的にハナを垂らしたチーコは、その始末に疲れたようにも見える。旺盛な食欲がせめてもの安心材料だ。出会ってから3年の月日が流れた。河原のチーコ。特異な存在感をもって異彩を放つ。人畜無害の、平和主義者。独立独歩、人を求めず、孤独を怖れず。コシロたちが尊敬するのも無理はない。
なんとすばらしい猫であることか。

夕方、日曜日保護したチビちゃんに会いに行くと、保護チビちゃんが4匹も増えていて、一緒にかたまっていた。ひとりぼっちで保護されたチビちゃんにはとても有り難い環境になっていた。落ち着いて元気いっぱい。こんなに小さいのに、砂のトイレでちゃんとしていると聞いて驚いた。健気。

Wed, 23 Apr 2003

うちのチュンと河原のノコちゃん




探しに探して、箪笥の横に積んだ箱の一番上、奥まった所で寝ていたチュンチュンを見つけた。押入に閉じこめたまま出かけてしまったことがあるため、みんなの姿をちゃんと確認してからでないと安心して出かけられない。スキ櫛を手に再度忍び寄って、梳かしてみた。逃げようがないので、体をかちかちにして耐えている。シャーっと威嚇もした。他の子達は櫛ときが大好きで、毎日冬毛がどっさり取れる。チュンチュンだけは、いまだに爪も切れない。櫛ときなどもってのほかだ。こんな頑固な子は未だかつて見たことがない。そろそろ我が家で10ヶ月、毎日私の顔を見、みんなが私とどんなに仲良くやっているかを見、ごはんの準備始めると飛んでくるし、お刺身には手を伸ばしてくるし、家の中に慣れて、自分たちのトイレが掃除される様子やテレビだって落ち着いて見るくらい「家の」猫なのに、野良気分はいっこうに衰えることがないのである。櫛に取れたチュンの冬毛を、しみじみ眺めてため息ついた。キミにはやっぱり河原が良かったの?
保護者としては複雑だ。
ノコちゃんの妹はチュンチュンと同じ日に保護した。同じだけの月日を経ているKちゃんちで、家庭内野良ちゃんを貫いているらしい。ノコちゃんには可能性を感じていたのに、ヨーコママの「人に気を許すな」教育はかなり徹底していたようだ。怪我をした目が容易に治らないので、ノコちゃんを見るたび痛ましい気持ちになる。何があったって、ノコちゃんは河原で生きるのだから。自力でどこまで回復できるのか・・やがて怪我や病気も受け入れて、それもこれもで彼らの生活になっていくのかと、複雑である。私を見ると、こちらの思いをうっとおしそうに振り切って、身を翻し、日向に出て考え事をしていたチーコのそばにいそいそと寄り添って行った。
並んだ後ろ姿はとても幸せそうだった。

丸子は現在ラブちゃん。順調にお家の暮らしに慣れたようだ。おじさんに伝えた所、あの子がいなくなってからサム君が寂しさのあまりノイローゼみたいだとのこと。
みぃちゃんが消えた後のクロちゃんを思い出して、言葉に詰まった。

Tue, 22 Apr 2003

猫好きのギャリコ


ポール・ギャリコの「ジェニイ」、読み始まったら止まらなくなった。一気に読破。カフカ「変身」の猫バージョン、OZの物語とも通じる所がある。猫になった少年がロンドンの町に放り出され、捨てられた猫ジェニイと出会い、人を頼らず生きていく「一本立ち」の方法をジェニィに教わりながら一緒に旅する話だ。
河原の猫たちにだって、みんなそれぞれに事情がある。どこでどうやって生まれ、どんな風にここまで来たのか、今何を考え、これからどうなっていくのか。そんなことを考えると、とても興味深い。誰も彼もがただ者とは思えなくなってくるのだ。まだ駆け出しで、重たい人生を背負っているようには見えないミュートみたいな若者だって、無事に生きていくために、これからどれほど大変な思いをしていかなければならない事か。

今日一日越えたら、また明日、
転げ回って毛繕いして、
おなかが空いたらしっかり食べて、
みんなの身に、恐ろしいことや悲しいことが起こりませんように。

Mon, 21 Apr 2003

仲間はずれのコージ君


ぱっとしないお天気の朝だ。いきなりの夏日の後だからか、薄ら寒く感じる。昨日仔猫を発見したあたりに関係者が残っていないか、ゆっくり走って通り過ぎた。誰もいなかった。

何日か一生懸命食べに通ってきたコージ君が、ガオのエリアで、積まれた古材の山にうずくまっていた。不機嫌そうに顔を上げ、小さい耳を後ろに倒して睨むばかり、動きそうにない。ごはんなのに、来ないの?どうかしたの?大丈夫?
何を聞いても、ウンともスンとも言わない。鼻に喧嘩傷があった。耳の後ろの毛も抜けていた。

黒長しっぽはおなかにちょこっと白毛があって、100%の黒猫ではない。背中も顔もビロードのように深く光って、均整のとれた体には、いつも力が漲っている。
甘えん坊で気の良いやつだ。
と思っていたけど、今日はまさおくんにしつこくちょっかいを出して飛びかかっていた。まさおくん、食欲削がれてゲンナリだ。この調子で年上の雄猫や気に入らない子達に、居心地悪い思いをさせているのではないかと思い当たった。そういえば、コージ君の帰りがけを、挑発的に追いかけていたのも目撃している。お兄ちゃんも襲われていた。困ったやつなのかもしれない。
まさおくんを元気にするには、ごちそうチビ缶開けて、彼の目の前でよそってやるのが一番効く。ほらね。

ノコちゃん現る。猫舎の下で元気に食べていた。
なかなか元に戻らないノコちゃんの目。
ノコちゃんがいればミュートもいるはず・・そう思ってテーブル下をひょいと覗いたら、やっぱりいた。
本日確認できた数は15。名簿に並んでいる45匹の猫たちのうち、会える子がたったこれだけというのは、どう考えたらよいのだろう。

Sun, 20 Apr 2003

チビ猫保護


気温がぐっと下がって、霧雨がしとしと降る日曜日。
川に沿って20kmを歩くイベントがあったようで、土手の上を、黙々と人が過ぎていく。
駆け寄ってきたガオに、取り急ぎ竹藪に入る前に配膳。
雨と空腹でみんな慌て気味。
少し離れた所で私を見上げたコクニの目、瞬膜が大分出ていて、調子が悪そうだ。原っぱの毒にどうにかなったのでなければいいけど・・
お兄ちゃんはなかなか場所が決まらなくてうろうろしていて、押しやったトレイを無視して過ぎ、私の背後をぐるっと回って、腕の下に来ていた。久しぶりなので驚いた。頭と背中を撫で、これまたどういう心境の変化かと喜んだ。今日の出席簿、お兄ちゃんには二重丸だ。
姿が見えなくなるまでじっと座って雨の中を見送ってくれた富士子を、振り返り、振り返り帰ってきた。

土手を下りてすぐ、高速道路の高架下で、響き渡るチビ猫の声を聞いた。自転車を急停止。姿はすぐに発見した。小さな汚れた毛糸玉がヨタヨタと、それでもかなり必死になって走っていて、パニック状態だ。あたりには兄妹も母猫らしき猫の気配も無かった。通りかかった家族連れが、かなり前から一人で泣いていたというので、迷わずリュックに保護した。震えながらお母さんのオッパイを探していた。Uさん宅で、暖かい寝場所とミルクを用意して頂き、パンパカパンになったおなかで安心して眠くなったようだ。白地にグレーの縞模様が散らばっている赤ちゃん。雄か雌かも判らない。

Sat, 19 Apr 2003

春の気鬱


あの無惨な原っぱで、心の安まる人がいるだろうか。
倒れた草を見るだけで、しなしなっと心がくじけてしまうのだ。
私自身が浴びせかけられてしまったみたいだ。
河原へ行っても元気になれない・・。

昨年の夏、地主のおじいさんは考えた。老齢でタンクを背負うのはキツイ。もっと楽に散布できて、もっと強烈に、草を根こそぎ殺して、しかも一年くらいは何も出てこなくなるという薬にしよう。ところが、私にその計画を漏らしてしまったばっかりに草を刈られてしまい、その薬は撒けなかった。今回は背中のタンク、だ。本当なら、昨年撒き損なったやつを知らないうちに撒かれていたのかもしれないのだ。
いくらかは「配慮」らしきものがあったと思っても良いのではないか。

そんな風に励ましてくれる人がいた。
どんな風に考えても、元気が出ない。
猫たちも異変を察知しているのか、ごはんにつられてぞろっと繰り出してくるような気分ではないらしい。

写真は久々登場、もと「タワシ」のニャン太君。
天然の癒し系猫さんだ。元気でいるかな?

Fri, 18 Apr 2003

打つ手無し、何しろ私有地




私を歓迎して奇声をあげて出迎えてくれた富士子が、憂鬱な顔で見つめるばかり。食べない。
落ち着き無くうろうろし、別に持参した富士子の好きなカリカリを乗せた音には反応したのに、やはり食べない。
うちの猫たちが「なまり節」を喜ばないのであまり買わなかったけど、つい衝動買いしたひと皿、河原へ持っていった。これをノコちゃんとチーコが喜んで、ぱくっと銜えては大事そうに、みんなから離れたところへ運び、頭を振り降り食べていた。
白ピアスの黒猫でクロスケでない子は・・ロボだ。
良く来たね、元気?
姿は見えないけどズホッズホ鼻を鳴らして移動しているのは・・お兄ちゃんだね。今朝は出足が早かったね。
お喋りアミちゃんは洋ちゃんと暮らしているようだ。竹藪奥の小屋方面へ帰っていく洋ちゃんに挨拶して、こちらへゆっくり出かけてくるのが見えた。
「除草剤撒かないで嘆願」が無視されてから、原っぱに自転車を置かぬよう心がけている。畑の人が「入ることも歩くこともいけない」と立腹していたのと同様に、人の土地を勝手に歩くな、と言われかねないと危惧しているからだ。川の側から回り込んでキャンプ場に自転車を置き、竹藪入口まで歩く原っぱは15歩。今日は富士子の胸騒ぎが的中したのか、自転車を押しかけ猫たちを振り返った時、原っぱの地主さんがまた、重いタンクをよいしょとばかりに背負って、除草剤を撒き始めるのを見た。一通り枯れて倒れた後、それでもなお生き残っている青い草を絶滅させるための駄目押し散布だろう。子供達のために遊ばせている土地(原っぱ)に、どうしてこれでもかと撒くのだろう。原っぱにいるミュート、逃げろ。まさおくん、逃げろ。行くな。念じながら立ちつくした。危ない匂いをどうか嗅ぎ分けて欲しいと祈った。
写真は「ヒメオドリコソウ」と「富士子」。

Thu, 17 Apr 2003

久しぶりの「ミルク」


6日に河原へ戻って以来、ごはんに現れなかった、というより、私に姿を見せてくれなかったミルクが来た。昨日見たヨーコに続いて、10日ぶりで、やっと会えた。最後の最後まで捕まらなかった二人には、あの手この手の駆け引きで疲労困憊したけど、あちらも同じだ。さぞかし憤懣やるかたない出来事だったろう。猫は記憶する能力がないからすぐ忘れる、なんて見くびってはいけない。一度失った信用を取り戻すにはしばらくかかるだろう。二人ともミルクが好きなので、現れた時ごはんの隣に残っているよう気をつけてあげようと思う。
今日見たメンバー21。
会えなくなっている子達を思い、ため息が出た。

Wed, 16 Apr 2003

イラクの少年




サンタが、草原の豹のように尊大な顔をして獲物を銜えていた。
小さな鳥だ。ぐったりしていた。

みんなに見せて気が済んだのか、竹やぶの中へ戻ってきた。竹をかき分けてそばへ行くと、鳥を残してサンタは逃げた。背中はスズメのような柄で、おなかは目の覚めるような黄色だった。

昨夜のテレビで、イラク戦争で犠牲になった男の子を見た。両腕は無く体は火傷でただれており、カメラを見つめる澄んだ大きな目にあったのは、絶望と悲しみだった。みんなで寝ていたら、ミサイルが飛んできて、お母さんも死んでしまった、妊娠5ヶ月だったんだ。
切り替わった画面では、ブレア首相が議会で演説している。「私たちは彼を助けるためになんでもする」そう言っている。
アリー少年が言う。
僕たちを殺すことが「解放」なの? ボクは働きたいんだ、腕を返して、この痛みは誰にもわからないよ・・そして彼は泣き、その涙を近くにいた誰かが拭いていた。
世界がこのニュースを見ているだろう。
戦争がどういうものか、この少年が全てを語っている。10人の家族を一度に失い、一人生き残った自分は両腕がもがれているのだ。

鳥を静かに埋めながら、詫びた。
昨日見た子のように、傷ついて泣いている全ての人々に詫びた。
猫が小動物を狩るのは、遺伝子にインプットされた指令があるからだ。叱っても本能は修正できない。人間が人を殺したり傷つけたりするのも、プログラムされた習性なのだろうか。
あの小さな男の子は、腕が無くては「働けない」と泣いた。きっとこれまでも、家族のために、母親を助けて働いてきたのだろう。
人間はなんて愚かな生き物だろう。


Tue, 15 Apr 2003

芽吹き




残念なことにお天気が悪く、朝から雨。
会えたのはたった17。

冬の間に枝だけになっていたそこかしこの樹木に、新しい緑が吹き出している。淡く煙るような緑色だ。芽吹き時に精神的に参ってしまう人がいるのは、乾いた樹皮を破って次々新芽を出す樹木のエネルギーに負けるからかもしれない。木々の芽吹きというのは本当に力強く、圧倒される。
そして、今散っているのは桜の花ばかりではない。河原の猫たちの頭上に茂った木々からも細かい花が降り、籾殻のような花屑がひっそり広がっている。

Mon, 14 Apr 2003

平和な朝


ミス河原がいなかった。一ちゃんとサム君にお待ちかねのごはんを置いてからみんなのエサ場へ行く。
誰かがか細い声で泣いている。あーんあーん、途方に暮れた声だ。誰だ?どこだ?と見回してあちこちのぞき込んでみると、ノコちゃんだ。
なんと!両目が塞がっている。どうしたのだ!ノコちゃん、またまた一大事なのか。こちらも動揺し、うわずった声でノコちゃんをしつこく呼んだ。泣き声はやーんやーんに変わって、ぱっと逃げた。
オロオロしながらとにかくみんなのごはんを所定の位置に配り、薬混ぜごはんを携えて捜索に出た。竹藪の裏手に痩せたミミちゃんが座っていたので、薬のごはんをそっと置いた。おもむろに食べ始めた。ミミちゃんは元気に来てはいるけど、無惨な外見だけ見ると、なんだか今にも死んでしまいそうだ。もとより白濁のあったミミちゃんの目、光がまた薄くなった。持ち直すのか、駄目なのか、本人にもきっと判らないのだろう。逃げたノコちゃんがそこに戻って続きを食べてくれたらいいなと思って戻ると、物陰でノコちゃんがごはんを慌ててかっ込んでいた。私に見つかって、しまった、という顔になる。目は両方開いていて、しかも、怪我の方の目はまだ半分しか開かないながらも、きらっと光るくらい回復している。怪我以来消えていた光だ。
まぶたがくっついていたのは寝起きだったためだろう。
あーびっくりした。そして安心した。
片づけ終わって、みなのモノ、と立ち上がれば誰もいない。
竹藪を出ると、日だまりに集まった「皆のモノ」は、みんな同じ方向に目を見開いて座っている。こちら観客席。
はるかあちら舞台では、おちゃらけ役者ピンちゃんが草の中で身を伏せている。緊張し意識を集中し、お尻を振っているのが見える。間抜けそうなフリをして、地味な鳥が、ピンちゃんを誘っていた。兄ちゃんは、見世物に興味なさそうに我が道をグェグェ去っていき、目を閉じて草の中のチーコも、喉が詰まったような重い息をして苦しそうだった。みんなの命は様々だ。

鳥が軽やかに空へ飛び立つのを見て、河原を後にしてきた。

Sun, 13 Apr 2003

アイ子


昨年9月の末頃に片目で現れ、以来ずっと皆勤賞だったアイ子。目もきれいに治って、健康状態に問題はなかった。
1月に不妊手術も済んで、古株メンバーに苛められることもなくいつも行けばそこにいた。小さな子だけど、無事越冬した。
少しは名前を呼ばれ慣れたのか、アイ子ちゃん、と呼びかけると、恥ずかしそうにフフと笑う。
一度も触ったことがない。かなり用心深い子だ。
3月に入って、ぽつりぽつり、○のつかない日が増え、28日姿を見たのを最後に、4月はどうしたことか、一つも○の日がない。
誰かアイ子ちゃんを知りませんか?
聞いて歩きたくても聞ける人がいない。

畑にも人。「ここもやられているよ、ったく!」という声があがる。なにか野菜の上を猫が歩いて倒したのだろうか。猫がそこかしこにいるのが忌々しくてならないのだろう。キャンプ場にも人、土手にも人。陽気につられて人が外にあふれた暖かい日曜日だ。大人のリーダーに猫を追い回すなと言われているのか、子供達は特に「猫だ」「猫だ」、と言わなくなった。黄色い原っぱで隊列組んで何をしているのだろう。軍隊のように声を張り上げ号令が飛ぶ。

あちら(別エリア)の一ちゃん、ミス河原、サム君の他、こちらでは17しか確認できず。富士子もチーコも、人を避けてじっと動かず、時々出て行ってはまた竹藪に飛び込んでくるピンちゃんや黒長しっぽ。猫たちが息を潜めてこそこそし、日向になかなか出て行かれないのを見守った。息苦しい河原だった。

Sat, 12 Apr 2003

サム君ち


金ちゃんの青ピアスが外れていた。
人慣れした子なので、おじさんのところで鋏でチョッキン、されたかな。
いつものエサ場は閑古鳥。もう一人のエサヤリさんがごはんをたっぷり置いて去っていった後だったので、いたしかたあるまいね、と、自分を慰める。土手上からミス河原達の所へ寄ったときも誰にも会えなかったので、おじさんの所まで猫ごはんぶら下げてぷらぷらと、土手下を歩いて行った。ゴミ溜まりの奥の方に広げられた布団の上で、サム君がのんびり寝そべっていた。他の猫の姿は見えず、おじさんの自転車はゴミ溜まりの始まりあたりに倒して置いてあった。きっと居るのだろう。声も掛けず、その辺にひっくり返っていた壊れ鍋を見つけてごはんを入れ、顔を持ちあげてこちらを見ていたサム君に見せながら「どうぞ。これ、食べてね」と、合図して置いた。
どこからかおじさんがヌッと出てきて何かブツブツ言った。笑った顔だけど、相当酔っぱらっていた。さっぱりわからない。突然来てスミマセン、猫たちのごはん、置いていきますので、とだけ言ってサム君ちを後にした。この前、多めに届けたカリカリを地面に全部撒いていたのを見て以来、猫たちをきちんと世話して貰おうなどと期待しないことにした。
猫だってちゃんと知っている。ひどい人ならそばには集まらないだろう。ごはんの不足を私が補えれば良いだけのことだ。

ああして酔っぱらっているときは全く正体が無くなっていて、姿は人間でも、猛獣のように得体が知れなくて恐いものである。サム君のくらしている所は、なかなか「おっかない」。あの子のピアスがまだ着いているかどうか、ちょっと疑わしくなってきた。
おじさんの所から戻ると、コハチがエサ場へ食べに来ていて、慌てて逃げていく後ろ姿を見た。一週間ぶり、リリース以来だ。元気でいる。それだけで十分ウレシイ。

Fri, 11 Apr 2003

立派だった丸子




丸子は実に立派な猫で、自転車に積んだときと電車に乗る前に少し泣いただけで、あとは道中じっと黙って運ばれてくれた。
今日まで丸子を預かって下さったUさんが、昼間のうちに丸子を病院へ連れて行って血液検査と虫下しを済ませて下さった。エイズ白血病共に無し。
マーチになったソックスとは一週間ぶり。とても元気で、きれいになった。それぞれ河原を後にしてから経験した環境の変化については、丸子より一足先に慣れて落ち着いていたので、へっぴり腰の丸子を目を丸くして眺めていた。あとはうまくいくよう祈るばかりだ。

河原で心配なのは黄色い原っぱと会えない子達。
ミス河原ポイントには久しぶりにサム君が居て、ミス河原と一ちゃんもいた。丸子が居なくなって、ここのメンバーは寂しくなったかも。
そしてこちらでは、アイ子が特に心配。

Thu, 10 Apr 2003

丸子のお見合い


一般的に言うと、成猫にはなかなか引き受け手がいない。
河原にいる人懐っこい子には、それで救出を断念してきたケースが多い。思い切って掲載して頂いた推定7歳のソックスにお申し出があり、これまでの不運を跳ね返す勢いで、仔猫のように元気で過ごしているらしい。一人で留守番は寂しいだろうと案じて下さったのだが、今の様子だと、エネルギーが余っているのを一緒に遊んで発散できるお友達が必要かも、との事。状況が少し変わってきた。ソックスの相棒にと推薦した丸子。今夜これからお見合いに臨む。一足先にお家の子になっているソックスが丸子を拒絶しなければ、二人で暮らせる。福福の丸子、ガンバレ!と、後見人は力が入ってしまう。

原っぱの草が一面黄色くなった。蝶が舞うのを追って、その草の中でミュートが跳ねていた。大人の猫たち、まさお君や富士子チーコなども草の中。元気な子供を視界に入れて、くつろいでいる。何とも言えない気持ちで眺めた。しなびた花では蝶も仕方あるまい。でも蝶が生きている。猫たちの安全を計る好材料だ。
少し明るい気持ちになれた。


Wed, 09 Apr 2003

住み分け


出席簿(チェックシート)を整理した。
猫舎周辺常駐組、通い組、別エリアの子、合わせて45だ。
コブ・サップ、アイ子、コキジ、小夏、ガチャ、ジエム、花子7匹は、先月から姿を確認できず、4月に入ってからは全く会っていない。
常在している皆勤さんは、せいぜい10縲怩P5で、他の子達はかなり分散している。ホームレスの人が消えた後に残された小屋、破れビニールハウス群、畑やキャンプ場の隅にある物置小屋の床下や破れ目の奥、そして猫が来ても追い払ったりしないでいさせてくれるおじさんたちの所など、それぞれが見つけた居場所は少なくとも10カ所はある。そこから私の設置しているエサ場へ通っているのだ。多すぎるかなと思いながら置いているごはん。翌朝は殆ど空になっている。

不明の子は、私よりも手堅い人間を捕まえたのだとも考えられる。だからキリキリしないでいようと思う。亡くなった子は星になった。消えた子は風になった。飼い主を見つけられた子は幸せになった。全部きっちり見届けることは不可能なのだと諦めよう。少なくとも、私に関わった子達が、どこかで子を産み続けることはないのだから。

Tue, 08 Apr 2003

天候不順




予報通り午後からは強い風が吹いて雨になった。
みんな上手に潜り込んでいてくれたらいいのだけれど。。

昨夜また、サブ猫舎に人が入っていたようだ。一体どんな人間なのか、猫のねぐらを乗っ取るとは情けない。猫の出入り口を塞いだまま立ち去っていた。今夜も雨なので、来ている可能性が高い。
買いだめしていた携帯カイロも使い切って、もう追加の買い出しはしていない。単純計算で総量3500枚を猫たちのために使った。今朝入れた最後の2枚、あの箱に誰が入るだろう。ごはんを食べたあと離れ猫舎に潜り込んだお兄ちゃん、ああ良かったと思ったのも束の間、河原を後にするときには、また材木置き場に移っていた。長引くゼイゼイした息が心配だ。ノコちゃんもお兄ちゃんも、薬の入ったごはんをとりあえず食べてくれた。
私に慣れている黒猫は「黒長しっぽ」だけだったのに、最近知り合った金目の黒猫「金ちゃん」。この所毎朝律儀にやってくる。人懐っこい黒猫だ。おじさんの所とみんなのエサ場を、その距離モノともせずに行ったり来たりしているようだ。
コージ君は青い目の洋ちゃんにくらっとしていて、彼女を見かけると態度が変わる。逃げる洋ちゃんをいそいそと追いかける。
私が話しかけると「けっ」と言う。
サンタとピンちゃんは冬毛が抜けて、痩せた感じがする。元気だから心配ないと思っても、細い首を見るとなぜか切ない。何事にも負けない持久力を、いっぱい食べてつけるべし。

Mon, 07 Apr 2003

ブラジールの猫事情




ブラジル人クリスチーナが土手を下りてやってきた。おじいさんがオランダ人だから白人の顔をしている。一緒に暮らしている彼は日系ブラジル人だそうだ。彼女の猫はチンチラで、なんとかこの猫に相手を見つけて子供を産ませたいと思っている。処分されている猫の数を減らさなければならないと一生懸命に思っている私だからして、この話には乗り気になれない。言葉の壁なんのそので、彼女と会うたび「%4&$#O」会話が弾む。ブラジルの家は大きいから、仔猫は全部連れて帰って自分で飼うと言うので、折れた。猫の相手については、彼女がショップに行かず、私が勧めた愛護センターの譲渡を調べに出かけていったことは、おおいに評価できた。手続きが面倒でとても貰えそうにない、なんで?と聞くので、簡単に引き取れると簡単に捨てる人が多いからだと教えてあげたら、納得してくれた。
彼女のお母さんの猫が、人間関係のもつれから(おそらく)毒を食べさせられて死んでしまったのだそうだ。ブラジルの猫も厳しい。毒の話から、原っぱの地主さんが雨の日の前日、除草剤を撒いていた目撃談になった。猫を蹴散らしながら丹念に撒いていったようだ。ワタシソノオGーサンミタ、ミタヨそれ!
彼女は今日、ポイズン=ドク、という単語を覚えた。

彼女の明るい声に圧倒されて、猫たちはそそくさと食べて散っていった。ノコちゃんの目はまだまだだ。



Sun, 06 Apr 2003

猫見日和




良く晴れてお花見日より。風が少しある他は文句なしの日曜日だ。布団を干したり洗濯したり、雑事を片づけてから河原へ向かう。途中Uさん宅へ寄る。Uさんに一緒に河原へ来て頂いて、ミルクとコハチを無事リリース、そして丸子を保護した。
Uさんが丸子を連れて戻った後、竹やぶの中のベンチに座って、一人で猫を見ながらお弁当を食べた。子どもたちが沢山集まっていて、除草剤の原っぱでも、草の上に座ってお弁当を広げ始めた。昨日の雨で流れたとは思ったけれど、知っていて黙っているのはいけないと思い直し、リーダーの方に伝えに行った。「除草剤が撒かれたばかりです。草の上で子どもたちにお昼を食べさせるのは危ないかもしれません」と。聞いてすぐ、子どもたちをキャンプ場の方へ移動させたようだ。

人が大勢いたので、猫はみな竹藪の奥や畑の中に散っていて、ノコちゃんはその遙か向こうで日向ぼっこしていた。ぽつりぽつりエサ場にくる子達を見ていた。コージ君(マサルさんモドキ)はミス河原ポイントで食べ、またこちらに来て食べ、凄い食欲で驚いた(本日の写真)。
ノコちゃんを待ちながら、長い時間河原で過ごした。
ヨーコママが来た。緊急リリース以来だ。元気そうで安心した。
今日確認できた子、34。みんなげんきだ。
会えなかった子、アイ子、コキジ、花子、ガチャ、サム君、ロボ・コップ、ビータン、マダラ、ジエム、ゲンちゃん、小夏。いつか復活するのではないかと待っていたクロ叔父、チビまゆ、まゆちゃん、そしてサビ子・・諦めきれず。

Sat, 05 Apr 2003

春の嵐


雨だけならどうって事無いけど、風には参った。寒かった。
今日予定していたミルクとコハチのリリースは明日に延ばした。Uさんの家で、まる一週間休ませて頂いている。ちゃんと食べて、落ち着いているそうだ。

支度ができてからも出かける決心がつかずにいて、えいやっと外へ飛び出したのは午後。レインコートのフードを手で押さえていないと後ろへめくられてしまう強い風だ。
薬を撒かれた原っぱには当然ながら誰もいない。かえって荒天で良かった。
心配なノコちゃんと、チーコ、コシロ、ピン&サンタ、クニクニ、キジオ君、マサルさんまでいた台の下。食欲旺盛で競い合うように食べていた。ノコちゃんが薬を混ぜたごはんを食べるよう、トレイを動かして苦労した。ずぶ濡れで現れたコクニと金ちゃん。できることなら乾いたタオルでごしごししてあげたかった。外にはじき出されて雨の中を右往左往していたのは、クロスケ、富士子、黒長しっぽ(しっぽを踏んでゴメンネ)まさおくん、はっち。離れ猫舎にカイロ交換で手を入れて、結果的に追い出してしまったお兄ちゃん、ゴメンネ。驚かすと可哀想なので、ほかの寝箱はそっとしておいた。
あとから出てきたアミちゃん、ケイちゃん、洋ちゃん、白ママ。
お天気が悪くても、これだけ会えると嬉しい。

Sat, 05 Apr 2003

ソックス追記


我が家で「敵」に囲まれながらの一ヶ月、この子は度胸の据わった所があって、小柄ながら7kgのヒヨシにも負けていなかった。気迫では勝っていたのかも。ちゅんちゅんはすっかりソックスが気に入ったようで、朝起きてテンションの高い日は、どちらから始めるでもなく、追いかけっこでドタバタ遊んでいた。ケージに入れられると捨てられたときの恐怖や不安が蘇るのだろうか、河原から運んだときと同様に大騒ぎで、しばらく泣き続け、移動中の車ではケージごと膝に乗せて、カバーをめくって外が見えるようにしてあげた。人の顔が見えたら泣き止んだ。新しい同居人がのぞき込んで、犬みたいに舌を出してハッハッハッハッあえいでいるのを気の毒がり、お家についたらまずお水だね、とソックスを励ましながら笑った。
ソックスの去った我が家へ戻ると、みな様子が変だった。落ち着いたと言えば落ち着いたのだが、チュンチュンが珍しく私のすぐそばに香箱作ってちんまり構え、「おねいさんをどこへやったのサ」と言いたげに、不審そうな上目遣いで訴えた。
ソックスはね、安心して暮らせるお家に行ったんだから、心配するなチュン。きっと幸せになるよ。

Fri, 04 Apr 2003

「マーチ」がソックスの新しい名前




除草剤は撒かれてしまったようだ。
私が地面に刺しておいた手紙は二つに折られたそのままで、一番上に書いてあった文字「地主様、どうか薬を撒かないで下さい、草刈りしますので」だけは見たのだと思う。
草が元気なく倒れ始めていて、色も変わっている。チーコがその中で日向ぼっこしていた。
ただ絶句して原っぱを歩いた。ここはすぐに無惨な「原爆投下後」になるだろう。何を浴びせられてしまったのか、草はだまってうなだれているばかりだ。

夜ソックスを新しいお家へお届けしてきた。里親になって下さった方とは、話せば話すほど共感できる事が多くて嬉しかった。そして、ソックスのために、河原で一緒に冬を越した友達、丸子の引き取りを前向きに検討して下さるとのこと。なるべく早く保護して連絡すると約束して帰ってきた。
しあわせになってね。
さよならソックス。

Thu, 03 Apr 2003

除草剤再び




原っぱに、竹の棒で線が引いてあった。

地主さんが除草剤を撒くための仕切り線だとすぐ判った。
そろそろだなと思ってはいたけど、遂に来たかと肩を落とした。

竹藪を背に朝日浴していると、畑の人が来たとき追い払われる。人がいなければ、猫たちは原っぱの草に隠れてごはんを待つ。今朝も草の中から顔を出した子が多かった。昨日は雨模様だったから、除草剤の散布は今日か明日か、いずれにしてもこれからやるのだ。持ち主が自分の土地でやることだ。こちらがどうこう言える立場でないことは十分に承知した上で、それでも胸がワナワナして、配膳中も上の空だった。

ノート一枚に手紙を書いた。
ここの猫たちを一生懸命不妊手術し、3年間で62匹動物病院へ運びました。22匹に新しい飼い主を捜しました。全てに飼い主を捜すことは困難です。今ここにいる猫たちは一代限りです。捨てた人間が何の咎もうけず、どこかで関係ない顔で暮らしており、私どもボランティアは、迷惑な猫を生かしていると責められます。法律で保護されているため、保健所ではノラネコの駆除は行えません。
保健所には、ここでの猫の世話状況を報告しております。
今の日本には保護施設はどこにもありません。捨てられた猫たちは、捨てられた所で生きていくほか無いのです。
猫たちを守ってやりたいと思っております。迷惑な猫がついでに何匹か死ねば都合がよいとお考えでしょうか。残しておいて頂けたら、私が土日に草刈りをいたします。どうかお願いです。毒を撒かないで下さい。
そんな風なことを、思いっきり書いて、一生懸命書いて、自分の名前を書き、二つに折り、竹の棒で地面に突き刺してきた。
見ても撒くかもしれない。書くだけ書いた。
こういう私を腹立たしく思い、ムキになって撒くかもしれない。

みんな、草が危なくなるよ。


Wed, 02 Apr 2003

怖がりのサム


お天気を甘く見て軽装で出かけ、寒くて震えた。ミス河原のポイントで土手を下りて、おじさんの居住区へ。
一ちゃん、丸子、ミス河原、そして、ケージに入ったサム君。おじさんはいなかった。ケージに一緒に入っていた段ボールの切れ端に「ありがとうございます」と走り書きされていた。ごはんを置いてサム君を預かる。みんなのエサ場で一通りやってから、動物病院へまっしぐら。
サム君はまだ若い。河原で産まれて以来、お母さん(ミス河原)とおじさんのそばにいて外へ出たことがない。兄妹はみな死んでしまって一人っ子だ。初めて身柄を拘束され、聞いたことの無い轟音を沢山聞いた。すぐそばを立て続けにトラックが走る、電車が通り過ぎる、サイレンを鳴らした消防車も2台、オートバイも。さぞかし恐かったろうと思う。許してね少年。私もキミのために雨に濡れて走ったのだよ。

ノコちゃんが今日もご飯にちゃんと来た。私に警戒するのを忘れていたのか外側から近寄ってきて、急に思い出して、慌ててユゥターン。チーコやコシロ、ピンちゃんと、私の手が届かない猫舎下に回り込んで待っていた。こんなふうにノコちゃんがちゃんとごはんに来るまでに、ノコちゃん用に持っていたお薬みんな使ってしまったのだ。サム君を届けようと決めたのは、ノコちゃんの薬が必要という事情もあった。

写真は昨年夏の「しんちゃん」
サム君に全くよく似ている。

Tue, 01 Apr 2003

ノコちゃん怪我から一週間




桜の並木を抜けて、花の息を吸ってから土手へ出た。花の色があちこち眩しい。本当に春なのだ。
ノコちゃんは原っぱの草の中にいて、ごはんの到着に気が付くと、みんなと同じように走った。
ヨーコはリリース以来まだ姿を見せてくれない。つよい猫さんだから大丈夫。きっと私に会いたくないのだろう。ノコちゃんはあのお母さんの子だからね。それにしても、声を掛けるたび情けない声で泣く。刺激しないように、お兄ちゃんや黒長しっぽの写真を撮りながら、やっとノコちゃんを撮った。先生に見て頂くためだ。
痛々しい写真だからどうしようかと思ったけど、ノコちゃんのきれいな目が戻りますように、願いを込めて敢えて使うことにした。キャンプ場の隅に椿の木がある。鮮やかな赤い花を豪勢に散らしていた。



河原猫の日記



    
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