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黒丸のお届け
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ごはんのデリバリで掴んだ猫たちの性格や気質は 一緒に暮らしてみれば、それが全てではなかったとしばしば思い知らされる。 黒丸の我が家での身の処し方は大変賢くリッパで 一緒に暮らすのにこんなに安らぐ子はいない。 黒丸 はねぐら不明の通い猫で 一日の大半を遠い畑の片隅で過ごしていた。 お腹のすいているときは待ちきれずに竹薮へ、 あるいは キャンプ場を突破して材木置き場まで来て 待機することがあったけれど たいていは一番最後の配膳場所、野球小屋を目指し とことこ とことこ 歩いてくるのだった。 食べ終わるとまた、とことこ とことこ どこへともなく帰って行く。 畑やテニスコートで会うT夫妻に はじめは大変素っ気なく逃げていたそうだが 次第に見つめ返して、自分を呼ぶ声に耳を傾けて距離を縮め やがてついて歩き抱っこまでできるようになった。 野球小屋裏手の餌場には ほかに集まってきている子がいたわけで アミちゃんと「おっと」のときも 黒長シッポに「げげげ」のときも サリーとビシバシの時もあった。 わがやでもそれなりに ヒヨシにシャーで対抗したり 誰彼となく出くわしては慌てる場面もあったけれど 人間の観察を楽しみに、潜り場所を工夫して修行に励んだ。 遂にお届けの日がやってきた。 押し入れの奥で寝ていたのを 呼ばれて出てきたところをケースに入れられ 自転車に揺られ電車に揺られ車にも乗って どうなることかとか細い声で泣いていた。 明るい大きな家で、お母さんとお嬢さんに温かく迎えていただいた。 新しいにおいと見たことのない景色にきょろきょろする。 まだ身の置き場所がよく分からないから不安そうだ。 おしゃべりしているうちに、くつろぎ始めて これなら心配はいらない、大丈夫と思えた。 おいとまして帰るときに、お母さんが庭のバラを コキジのために摘んで持たせてくださった。 車に乗って、抱えたバラからたちのぼるほのかな香りの優しさに 胸が熱くなって泣けてきた。 黒丸のお届けは完了。 しばらく時間をかけて様子を見守り、決定はそれからでとお願いしてきた。 黒丸はきっと良い子で頑張ってくれるだろう。 良いご縁を結んでくれたコキジにありがとうと 夕方の河原で報告した。 ズーズー、ブー、ハッチ、ヨーコママ、シロママ、トラぴんコシロ、クロスケ、ビータン、ミルク、ムギ、ケイちゃん、とっと。確認猫数14。 筆ちゃんはまだほどけない。 夜ダウンで、様子を見に行ってあげられなかった。 |
