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Wed, 18 Sep 2002

やさしいおじさん


青く晴れた空に、ちぎった綿みたいに散らばった雲の縁が光っていた。
この所続いた悪天候にうんざりしていたからか、深呼吸したくなるきれいな朝だった。
原っぱには猫が散らばっていた。「自分たちはこれからごはんを食べるのだ」という意志の漲った体が妙に存在を主張していて、ただ草がないから目立つだけではないように感じた。
ぼーくらはみんなっ、いぃーきてぇいるぅ、だ。一緒に歩けば元気いっぱい。うっかり蹴り飛ばさないように気をつける。ソックスハチコ確認。えさ場に入ってこないので、境界線の茂みまで配達してあげた。
片づけ終わる頃、ノコちゃんに惚れちゃったおじさんが、いそいそと土手を下りてくるのを確認。ノコちゃんがおじさんの気持ちに応えるべく、ゆっくり歩いていく。食べ終わった子達まで、あっちのメニューは何だという感じで寄っていった。囲まれたおじさんを見て「はまっちゃったな」って、可笑しくなった。

3年前にいつも来ていたコマツのおじさんは、足が痛くてもう来られないと私に猫の事を託した後、事故にあってしばらく入院し昨年5月に亡くなった。犬の散歩の人から聞いたのは夏で、河原の猫たちの写真を持って家を捜し当てお悔やみに伺った。病院で「白い猫はどうした?」と気にしていた、うちには白い猫はいないから変だなぁと思っていた、と奥さんが話してくれた。まさおくんのことだと思った。遺影を見ながら、猫には本当に優しい人だったと言う。河原から連れてきたい猫がいたらしく、何度も奥さんに頼んでは、これ以上はだめだと止められていたのだそうだ。

コマツのおじさんは元大工さんで、土手を歩いたのは、脳梗塞で麻痺した足のリハビリをかねた散歩のためだった。木の下で雨に濡れた二匹が寄り添っていたのを発見し、翌朝、そのうちの一匹がそこで死んでいたのを見、通うようになったと話してくれた。雨風しのげるように私が猫のためにするあれこれを、いつもありがたがってくれた。奥さんが茹でた魚や、蓋を開けた猫缶を持ってきていた。
猫に囲まれて何時間でも座っていて、当時仔猫だったクロちゃんなど、背中に張り付いたり、帽子の上にしがみついたりして甘えていた。
やさしいおじさんというのは、忘れた頃にまたあらわれるのだ。




河原猫の日記



    
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