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Tue, 03 Dec 2002

神様のお使い


薬のごはんが必要と思われる子に特別食を配り、おなかが空いて気の立っている皆さんにも待つ時間はつらかろうと猛スピードで配り、バッタのように立ったり座ったり気ぜわしく動き回っていたら、いつの間にかチーコが竹藪を出て行ってしまった。
薬までいかないうちにごはんを放棄した。
拭いてもどうせすぐ塞がってしまう鼻だけど、白い胸が息をするたび大きく動くので、見ているこちらまで苦しくて、ちょっとでも助けてあげられたらと。・・チーコにはありがたくないのだろう。
チーコはずっとこんな調子で、きれいな日より不調の日の方が多い。顔を洗う手とか、洟をこすりつけるところの毛が固まって、落ち武者みたいなくたびれよう。
ずっと苦労続きで悟りの境地に達したか、目はいつも覚醒者のごとく冷めている。

竹藪を出てすぐ、チーコとコシロがうずくまっているのを見た。
この所のコシロのチーコへの傾倒ぶりは、全く奇妙で不可解だった。年頃の若いオスが女の子を追い回すパッションと全然違うものが、コシロから立ちのぼっていて、なんだろうって・・
親衛隊仲間のノコちゃんが手術で不在だから、なおさらひしと寄り添っているのかもしれない。自分が温まりたいのではなく、チーコを寒さから守るように、包むように寄り添っているのだ。
二人を見てすぐ、息をのむ。
自転車に納めた荷物から慌ててカメラを引っ張り出した。
竹藪に戻るフリをして、カメラを向けた。
泣きそうになって焦点がぼけてしまった。

シロネコは神様のお使いだ。

ずっと苦しんできたチーコを、
クロちゃんしか連れて帰れなかった私の代わりに、
河原で守ってやるようにと、
コシロは
神様に言いつかっているのだ。

大きな体でチーコを包んでいる。

薄曇りで寒い朝だ。
まんべんなく毛布の下にカイロを配った。
夜はもっと寒いだろう。
新しく敷き詰められた銀杏の葉で、原っぱの一角が鮮やかな黄色に変わった。



河原猫の日記



    
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